サウンドフォント(SF2)とは
サウンドフォント(SoundFont)は、楽器の音を録音したサンプルと、それを楽器として鳴らすための設定をひとつにまとめたファイル形式です。拡張子は .sf2 で、ピアノ1台だけのものから、General MIDI
の128音色とドラムセットが全部入ったものまであります。中身の仕組み、「音源」との違い、SFZ との違い、DAW や
Domino での鳴らし方をまとめました。
執筆:Aiden Shihadeh(simpleSF2 の開発者)· 公開
まとめ
| 何か | 楽器のサンプル(録音した音)と、鳴らし方の設定をまとめたファイル。正式には SoundFont 2 |
|---|---|
| 拡張子 | .sf2(圧縮したものは .sf3 や .sfArk) |
| 中身 | 楽器1つだけのものから、GM の128音色とドラムセットが入ったバンクまで |
| 鳴らすもの | サウンドフォントプレイヤー(プラグインやソフト)。ファイルだけでは音は出ません |
| SF2 と SFZ | SF2 は1つのバイナリファイル。SFZ は別のサンプルファイルを読み込むテキストファイルです |
| 無料で手に入る? | はい、たくさんあります。おすすめのフリーサウンドフォントにまとめました |
| DAW で開ける? | ほとんどの DAW は標準では開けません。使い方を見てください |
SF2 の基本
- 形式:SoundFont 2。サンプルを使った楽器のためのファイル形式で、拡張子は
.sf2です。 - 中身:音のサンプルに加えて、鍵盤への割り当て、ループポイント、エンベロープ、フィルターなどの設定が 1つのファイルに入っています。
- 生まれ:1990年代に E-mu Systems と Creative Labs が、Sound Blaster AWE シリーズのサウンドカード用に作りました。広く使われているのはバージョン2で、仕様は公開されています。
- 鳴らすもの:simpleSF2 のようなサウンドフォントプレイヤー、SF2 を読み込めるサンプラー、FluidSynth のようなソフトウェアシンセです。
simpleSF2 は、Windows・macOS・Linux のどの DAW でも SF2 と SFZ を鳴らせる無料のプラグインです。 無料でダウンロード
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アンロックする — £9.99SF2 ファイルの中身
サウンドフォントは3つの層でできています。1つのファイルにたくさんの音が入るのはこのためです。
- サンプル:録音そのものです。たとえばピアノを数鍵おきに録音した音で、音を伸ばせるようにループポイントが付いています。
- インストゥルメント:サンプルを鍵盤とベロシティの範囲に割り当て、音量エンベロープ、チューニング、フィルター、エフェクトなどの鳴り方を決めます。
- プリセット:実際に選んで弾くものです。1つ以上のインストゥルメントを組み合わせ、バンク番号とプログラム番号を持ちます。General MIDI のバンクなら、バンク0に128のプリセット、バンク128にドラムセットを置けます。
鳴らし方の設定もファイルの中にあるので、仕様どおりに作られたプレイヤーなら、どれで鳴らしてもほぼ同じ音になります。ファイルを読み込み、プリセットを選んで弾くだけです。
実際の SF2 ファイル2つの中身
層の中身が実際どうなっているか、多くの Linux に入っている無料の General MIDI サウンドフォント、FluidR3 GM と TimGM6mb のヘッダーを読んで比べました。どちらも同じ GM の128音色を持っていますが、作りはまったく違います。
| FluidR3 GM | TimGM6mb | |
|---|---|---|
| ファイルサイズ | 148 MB | 6 MB |
| プリセット | 189:バンク0に128、バンク8〜16にバリエーションが30、バンク128にドラムセットが31 | 136:バンク0に128、バンク128にドラムセットが8 |
| インストゥルメント | 193 | 210 |
| サンプル | 1,418 | 520 |
| よくあるサンプルの長さ | 約1.2秒 | 約0.06秒 |
| いちばん多いサンプルレート | 44.1 kHz(ほかに 32 kHz と 22.05 kHz) | 44.1 kHz(ほかに 22.05 kHz と 12 kHz) |
ここから3つのことがわかります。
- ファイルのほとんどは音声データです。どちらも96%以上がサンプルで、プリセットとインストゥルメントの情報は多くても数百 KB です。
- サイズはサンプルの長さで決まります。TimGM6mb が小さいのは、ほとんどのサンプルが100分の数秒の短い断片をループさせたものだからです。FluidR3 は長く録音したまま入れているので、ループに入る前の音の立ち上がりと減衰が本物に近く聞こえます。
- 1つのファイルにサンプルレートが混ざっていてもかまいません。どちらも容量を減らすために、一部の音を低いレートで入れています。違いはプレイヤーが吸収するので、気にする必要はありません。
大きければいいわけではありません。小さいバンクは読み込みが速く、メモリも少なくて済むので、プラグインをいくつも立ち上げるときに効いてきます。ただ、細かい表現がどれだけ入っているかは、録音の長さがいちばんの目安になります。
サウンドフォントと「音源」の違い
DTM で「音源」というと、音を出すもの全般を指します。SC-88Pro のようなハードウェアの音源モジュールも、DAW に挿すソフト音源(プラグイン)も音源です。サウンドフォントはそのうちの「音のデータ」だけで、鳴らすにはプレイヤーが要ります。CD と CD プレイヤーの関係に近いと考えるとわかりやすいです。
Domino の「音源定義ファイル」はまた別のものです。こちらは音色の名前とバンク・プログラム番号の一覧で、音そのものは入っていません。サウンドフォントで鳴らすときも、音源定義は使うサウンドフォントの並び(GM か GS か)に合うものを選ぶだけです。
GM・GS・XG とサウンドフォント
General MIDI(GM)は、どのプログラム番号にどの楽器を置くかを決めた1991年の規格です。1番がアコースティックグランドピアノ、25番がナイロンギター、49番がストリングス、ドラムは10チャンネル、というように決まっています。決めているのは楽器の並びだけで、音の作りまでは決めていません。同じ MIDI ファイルが機種によって違って聞こえるのはそのためで、「公式の GM サウンドフォント」というものもありません。GM サウンドフォントは、誰かが作ったサンプルをこの順番に並べたものです。
ローランドの GS とヤマハの XG は、GM の128音色にバリエーション音色やドラムセット、エフェクトなどの設定を足した上位規格です。サウンドフォントでも GS の並び(バンク1〜127にバリエーション、バンク128にドラムセット)をまねることはできますが、GS や XG 専用のメッセージに応えるかどうかはプレイヤー次第です。
SC-88Pro の音をサウンドフォントで鳴らしたい場合については、フリーサウンドフォントのガイドで説明しています。
SF2・SFZ・SF3・DLS の違い
- SF2 は、サンプルと設定が入った1つのバイナリファイルです。共有も読み込みも簡単ですが、中身を変えるにはエディターが要ります。
- SFZ は、別のサンプルファイル(ふつうは WAV か FLAC)を指定するテキストファイルです。テキストエディターで編集でき、サイズの上限も実質ありませんが、1つの楽器がファイルの入ったフォルダーになります。
- SF3 は、サンプルを Ogg Vorbis で圧縮して小さくした SF2 の仲間です。MuseScore が使っています。SF3 を開けない SF2 プレイヤーもあります。
- DLS は、MIDI 規格の団体(MMA)が決めた似た形式で、OS やゲームで使われています。Windows
の MIDI 音源「Microsoft GS Wavetable Synth」の音色ファイル
gm.dlsもこの形式です。 - sfArk(
.sfArk)は、配布用にサウンドフォントを圧縮した形式で、そのままでは鳴らせません。無料のエディター Polyphone で開いて、SF2 として保存し直せます。
simpleSF2 は SF2 と SFZ をどちらもそのまま読み込めるので、変換は要りません。詳しい比較は SF2 と SFZ の違い(英語)にあります。
サウンドフォントの使い方(開き方)
SF2 ファイルをダブルクリックしても、ふつうは何も起きません。何で鳴らしたいかによって方法が違います。
DAW で使う
ほとんどの DAW には、SF2 をそのままトラックに読み込む機能がありません。方法は2つです。
- サウンドフォントプレイヤーのプラグインを使う。SF2 をそのまま鳴らせて、すべてのバンクとプリセットを 1か所で選べます。simpleSF2 は Mac・Windows・Linux の AU・VST3・CLAP プラグインで、無料で使えます。
- DAW のサンプラーに読み込む。SF2 を自分のサンプラーの形式に変換できる DAW もあります。楽器1つなら使えますが、バンク全体を読み込むとばらばらになったり、設定が抜けたりします。
simpleSF2 での手順です。
- simpleSF2 をインストールして、インストゥルメントトラックに挿します。
- Import SF2/SFZ をクリックして、
.sf2ファイルを選びます。 - プリセットを選んで弾きます。
DAW ごとの手順(英語):Logic Pro・FL Studio・Ableton Live・REAPER・GarageBand・Cubase・Studio One
Domino や MIDI ファイルの再生で使う(Windows)
Domino はサウンドフォントを直接読み込まず、MIDI の出力先に音を鳴らしてもらいます。Windows に最初から入っている出力先は Microsoft GS Wavetable Synth なので、サウンドフォントで鳴らすには、サウンドフォントを MIDI デバイスとして使えるようにする無料のソフト CoolSoft VirtualMIDISynth を入れます。
- VirtualMIDISynth をインストールし、設定画面(Configure VirtualMIDISynth)の「+」ボタンでサウンドフォントを追加します。
- Domino で F12 を押して環境設定を開き、MIDI-OUT のポート A のデバイスに「VirtualMIDISynth #1」を選びます。
- 音源定義は、サウンドフォントの並びに合わせて GM 用か GS 用のものを選び、OK を押します。
出力先を選べないソフトやゲームでは、CoolSoft の MIDI Mapper で Windows の既定の MIDI デバイスを VirtualMIDISynth に切り替えられます。
MuseScore で使う
MuseScore 4 では、.sf2 か .sf3 のファイルを MuseScore のウィンドウにドラッグするか、書類フォルダーの
MuseScore4/SoundFonts に入れます。そのあとミキサー(F10)で、楽器ごとに鳴らすサウンドフォントを選べます。
何もインストールせずに試す
オンライン MIDI プレイヤー(英語の画面です)に MIDI ファイルと SF2 を入れると、ブラウザの中で再生できます。サウンドフォントの音をちょっと確かめたいときに便利です。
SF2 ファイルの探し方
無料・有料のサウンドフォントがネット上にたくさんあり、GM のセットから単体の楽器までそろっています。作った曲を公開するなら、先にライセンスを確認してください。無料のサウンドフォントの多くは曲に使えますが、個人利用だけのものや、作者が権利を持っていないサンプルで作られたものもあります。ライセンスのはっきりしたものを おすすめのフリーサウンドフォントにまとめました。
simpleSF2 にはスターター用の音が付いているので、自分のサウンドフォントを見つける前でも音を出せます。出どころはクレジットに書いています。
よくある質問
SF2 ファイルとサウンドフォントは同じもの?
はい。「サウンドフォント(SoundFont)」が形式の名前で、.sf2 は今使われているバージョン2の拡張子です。どちらの呼び方でも同じものを指します。
DAW がなくても SF2 ファイルを鳴らせる?
SF2 に入っているのは音で、曲ではありません。鳴らすには、DAW と MIDI キーボード、MIDI ファイル、単体のサウンドフォントプレイヤーのどれかが要ります。いちばん手軽なのは上のオンライン MIDI プレイヤーで、Windows なら VirtualMIDISynth を入れれば、MIDI ファイルをふつうに再生するだけでサウンドフォントの音で鳴ります。
SF2 を WAV や SFZ に変換できる?
できます。無料のエディター Polyphone で、SF2 を SFZ に書き出したり、サンプルを WAV で取り出したりできます。サウンドフォントで鳴らした曲を WAV にしたいなら、MIDI to WAV 変換ツール(英語)で MIDI ファイルを SF2 で鳴らしてブラウザの中で書き出せます。simpleSF2 で鳴らすだけなら、変換は要りません。
無料の SF2 プレイヤーはある?
いくつかあります。simpleSF2(私が作っています)、Bertom SF2 Player、juicysfplugin は SF2 をそのまま鳴らせて、sforzando は SFZ に変換して鳴らします。DAW の外では FluidSynth と Polyphone も無料です。違いは無料のサウンドフォントプレイヤーの比較(英語)にまとめています。